学びを記録する
ソフトウェア開発者として成長するための具体的方針を模索している
普段はソフトウェア開発に没頭してしまいがちだが、少し時間に余裕ができると開発者の心得のようなものが書かれた本を手にとって読んでいる。そのような本を読むと一歩退いた場所から普段の自分を見つめ直すことができるし、日々感じている不安・迷い・疑問に対して「次はこうやってみようかな」という方針が見えてくる。
職業としてソフトウェア開発を行うようになってから5年弱の経験を積んできた自分としては、そろそろ入門者・初心者の域を脱して中級者を名乗りたいところなのだが、日々自らの何かしらの成長不足を痛感し、次のステップへの道を模索している状態だ。年長者は「経験を積めば成長できる」というようなことをよく口にする。でも、ただ経験を積めば成長できるとは思えない。だから、成長するためには「何を」「どう」すればよいのか、具体的な方針を模索している。
学びを記録・共有する
1ヶ月程前に「アプレンティスシップ・パターン―徒弟制度に学ぶ熟練技術者の技と心得」を読んだ。この本では、経験の浅いソフトウェア開発者が成長する上で直面する問題とその解決方法が、具体的なエピソードを交えて数多く紹介されている。各パターンはどれも言われてみれば当然の内容だった。中には既に自分が実践していることもあった。けれども、5章「永遠の学習」で挙げられているパターンは、まだ十分に試したことがない、今の自分が最も必要なパターンの一群であるように思えた。中級者・上級者を目指す上で継続的に学習していくための具体的な方法がここで提示されている。
5章 永遠の学習
- 処理能力を広げる(Expand Your Bandwidth)
- 練習、練習、練習(Practice, Practice, Practice)
- 壊してよいオモチャ(Breakable Toys)
- ソースを活用する(Use the Source)
- 自分の仕事を省みる(Reflect As You Work)
- 学びを記録する(Record What You Learn)
- 学びを共有する(Share What You Learn)
- フィードバック・ループを構築する(Create Feedback Loops)
- 失敗から学ぶ(Learn How You Fail)
- まとめ
各パターンは相互に関連しあっているので、特定のパターンを単独で取り上げることは難しいのだが、あえて特に関心をひいたパターンを挙げるならば、「学びを記録する」と「学びを共有する」の2つだ。
学んだことは時間がたてば忘れてしまうかもしれないし、他人に教えようとしてもすぐに筋道を立てて説明するのが難しいこともある。だから、普段から自分が学んだことを整理して記録していくことは、長い目で見ればきっと有益な活動になるだろうと思う。それにこれらのパターンには
- 実行すれば目に見える形で結果が残る。
- 継続すればするほど学びの記録は増えていく。
- 自分の知識・経験の情報が増えるほど、検索や共有の意義も大きくなる。
という特徴がある。思い立ったが吉日というけれど、「学びを記録する」と「学びを共有する」についてはできるだけ早くから着手してコツコツと継続していくのが良いのかもしれない。
情報をひとつの場所にまとめて蓄積・運用する
自分の学びを記録・共有することが重要だということは理解したつもりだ。それでは、どのように記録・共有すればよいのだろうか。ここ1ヶ月の間考え続けてきた結果、やはりきちんと文章にまとめるのがよいのだろうという結論に至った。きちんとした文章にまとめるには時間も手間もかかる。けれども、そうやって文章を書いてみると自分の持っている情報を一度整理する段階を経るので、単体で価値のあるひとまとまりの情報を生み出すことができるし、細かい部分で自分の理解が足りないことに気づくこともできるだろうと思う。(実際にこの1ヶ月でそういう経験をした。)これに似たようなことが「ネットで成功しているのは〈やめない人たち〉である」で述べられていた。
活動を1箇所に集中するのは得策ではないといいつつも、ホームを持つところが大事な理由がここにあります。ログという資産を運用可能な状態にするには、どこかで「あなたの情報」として公開することがいちばんなのです。誰かに理解してもらうためには、ログを生の状態ではなく、ひと加工して理解してもらえるような形にすることで、その情報が流通して、その資産はさらに成長するからです。
その意味で、ホームとしてのブログの存在が大きいことはいうまでもありません。いまでは、そのホームをツイッターに求める人もいるかもしれませんが、ここでひとつ注意が必要です。このホームはちょっと種類が違うのです。外に向けられたホームと、人を迎え入れるホームの違いです。
どちらが正解なのかは、運用の仕方次第ですから、運用する人次第と言えますが、ログは蓄積し→深堀し→問いかけ→活用し→再定義することで、はじめて蓄積した意味が出てきます。だから、ログを参照したいときに、参照したいデータが既に整理されている状態を維持することが、運用においてはいちばん大事なことになります。そして、それが「自分のログをいかに残すか?」ということを決めてくれるはずです。
「ネットで成功しているのは〈やめない人たち〉である」 237〜238ページ
自分の学びを記録することで知識を整理し、自分に足りないものを発見する。そのための活動を少しずつしていこうと思う。できるだけ長く続けていけるように、力まずに楽しみながらやっていきたい。
アプレンティスシップ・パターン ―徒弟制度に学ぶ熟練技術者の技と心得 (THEORY/IN/PRACTICE)
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